2011/9/17 Sat

仕事のこと

時には害のない可愛いウソも

あれは企業情報を検索して開拓をしていたころの事。灯台下暗しとはこのことか、歩いて数分のところに何とも魅力的なマーケットを持つ大きな組織を見つけました。即座に電話をしてアポイント取得を試みてみたものの、簡単にはアポイントは取れず失敗に。

それから数日。懇意にしていた先生の事務所にお邪魔している時に、何とその企業の営業の方が事務所に来ていました。先生はとても協力的で簡単に営業の方を紹介してくれ、その方も快く上席に話してくれることになりました。営業の方の話だと、すぐに上席の方に話してアポイントの連絡をすると言っていたのですが、それから数週間待てど暮らせど連絡はありませんでした。

しびれを切らし、企業に電話をしてその営業の方を呼び出そうとしたところなんと『その者は既に退職しました。』と電話口の女性。これで万事休すかと思い始めた私の口からとっさに、『かくかく云々で、上席の方とアポイントを頂ける約束になっておりました。こちらは既に2週間も連絡をお待ちしていたのですが。』と伝え後任の方を電話に引きずり出すことに成功しました。

もちろんちゃんとした約束というわけではなく、たまたま先生の事務所でお会いしただけの方でしたから、まぁある意味社交辞令的なものだと私も思っていました。でもまぁ、その方がお辞めになってしまったことが功を奏したのか、後任の人も親切に対応してくださり、二日後に役員さんが全員そろって私を出迎えてくれました。

その企業のマーケットを考えると、当時私が勤めていた保険会社を取り扱っていなかったのが不思議なくらい。役員さんとの面談でもお互いに笑いながらそんな話になるほど、とんとん拍子に登録が決まりました。この企業の登録が、私のその後の保険会社キャリアを明るくしてくれました。業界でも有名だった企業に、入社1年半の私が登録できたこと。そして、その企業からの登録の条件になった最高位からのスタートにも、こちらからも握り達成を条件を提示し、1年かけて握りをクリア。考えてみると私の年間予算の四分の一もあった握りを軽くクリアしてくれたことは、本当に今でも感謝しています。

時には害のない可愛いウソ。私はこの企業にちょっとしたウソをついてしまいました。まぁ、今となってみれば笑い話で終わらせることが出来ると思いますが、その時はいつばれるかなんて毎日気にして企業を訪問していたものです。辞めた方からしてみれば、社交辞令のつもりで言ったことが、後任の方に冷や汗をかかせ役員さんを全員揃えてプレゼンする機会を私に与えてくれたとは夢にも思わないでしょうね。

私にとってみればウソというより、少々大げさな表現をしただけのつもりで、今でもその企業の入居するビルの前を通る時に思い出しています。