若いモンには飯を食わしてやらなきゃいけない…
それが死んだ親父の生き様だった。
私が子供の頃、週末に限っては、ほぼほぼ家族だけで食事をしたことがない。なぜならば、週末には必ずと言って良いほど、学生さんたちがうちの食卓を囲っていたから。
死んだ親父は変わり者。そう思っていたのは、きっと私だけじゃなく兄貴も同じ感覚ではなかっただろうか。
一番の被害者であろう母は、親父の道楽に付き合い毎週、食堂のお母さんかっていうほどの料理を作っていた。
あれからうん十年。気がつけば、私の店には夜な夜な金のない若い客が訪れる。
それはそれで良いじゃないか。